機械式腕時計

機械式腕時計が腕時計の始まり

自動巻腕時計

自動巻腕時計の仕組みは、時計内部に半円形のローターが組み込まれていて装着者が腕を振ることによってローターが回転し、 腕時計の動力であるゼンマイを巻き上げるようになっています。 腕に装着して8時間ほどで完全にゼンマイが巻き上がり、その状態なら約30時間は何もしなくても動きます。 ローターを仕込んだ自動巻機構は1770年に懐中時計用として発案されていましたが、この自動巻の構造はポケットに収まった状態で 持ち運ばれる懐中時計では有効に働かず、手首で振られ慣性の働きやすい腕時計ではじめて効果を発揮することになりました。 万歩計をポケットに入れて歩いても正確な歩数が出ないのと同じで、懐にしまう懐中時計では充分な動力を得られなかったのです。

パーペチュアル

世界初の実用的な自動巻腕時計となったのは、イギリスのジョン・ハーウッドが開発した半回転ローター式と呼ばれる構造で、 1926年にスイスのフォルティスから発売されました。 それに続きより効率に優れる全回転式ローター自動巻が、スイスのロレックスで1931年に開発され、 ロレックス社は「パーペチュアル」の名でこの腕時計を販売しました。 このパーペチュアルがオイスターケースと呼ばれる防水機構と共に、腕時計メーカーとしてのロレックスの名を世界中に広めることになります。 今では世界的な腕時計のブランドとして知られるロレックスですが、この開発がブランドの飛躍のきっかけでした。 現在の腕時計では全回転ローター自動巻の腕時計が一般化しています。

日本の腕時計

日本では1913年、服部時計店(現セイコー株式会社)が日本で国産初の腕時計となる「ローレル」を発売しています。 日本の時計技術は着実に進歩していき、腕時計はカメラと並ぶ主要な輸出商品となりました。 1955年には国産初の自動巻腕時計である「セイコーオートマチック」が発売されます。 その後も「グランドセイコー」「シチズン クロノメーター」など、スイス製の腕時計に匹敵する精度の高い国産時計が登場しました。 少々年配の方々でしたらこれらの腕時計の名前は懐かしく聞こえるかもしれません。 1964年の東京オリンピックでは公式計時機器として、初めて海外腕時計メーカーの製品を抑えて日本の腕時計メーカーであるセイコーの時計が採用されました。 これを契機に日本製の腕時計が世界的に認められるようになっていきます。